情報元 : 横断歩道メロディー、消える? 擬音式に一本化へ 「寂しい」惜しむ声も /
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高層ビルが立ち並ぶ福岡市・天神。人通りも多い街中の交差点を歩くと、信号機から昔懐かしいメロディーが流れる。目が不自由な人のためということは何となく分かるが、曲の種類はどれくらいあるのか。気になって調べてみると、ゆくゆくはあのメロディーを耳にすることはなくなるということが分かった。 (坪井映里香)【写真】西鉄福岡駅と天神コアを結ぶ、信号が変わると音楽が流れる交差点 音が出る信号機の正式名称は「視覚障害者用付加装置」。やはり目が不自由な歩行者が渡りやすいように、信号が変わったことを音で知らせるものだった。
何種類もあると視覚障害者が混乱するとの理由で、警察庁は1975年、曲が流れるメロディー式の「通りゃんせ」「故郷の空」と、「カッコー」「ピヨピヨ」という鳥の鳴き声のような音が一定間隔で出る擬音式2種類に統一した。
さらに視覚障害者団体からの「擬音式の方が渡りやすい」との声を受け、同庁は2003年、擬音式に一本化する方針を決めた。そのため、現在は全国の同装置の約98%が擬音式だ。
なぜ、擬音式がいいのか。その理由は「音の出方」にあった。メロディー式の場合、渡る先にある信号と後方の信号の両方から同時に曲が流れる。一方、擬音式は前後で交互に音が鳴るため、仮に歩道の途中で進行方向が分からなくなっても、音の判別で進行方向が確認できるというわけだ。
音の出る信号機の設置や管理を行う福岡県警交通規制課によると、福岡市内に設置されている計277カ所のうちメロディー式は1割に満たない22カ所にとどまる。天神では、西鉄福岡(天神)駅と天神コアを結ぶ横断歩道などに設置されている。
同課によると、これらも更新時期が来たら擬音式へ変更する計画という。ただ、視覚障害者の中にもメロディー式を支持する人はいる。江藤文江さん(65)は「曲の方が、青になったばかりなのか、そろそろ赤に変わるのかが分かりやすい。できれば変わってほしくない」と話す。
天神を歩く人たちに感想を聞くと、「寂しい」「聞くと福岡に来た感覚があったのに」と惜しむ声から、「気づかないかもしれない」「洋楽に変えてほしい」といった声までさまざまだった。
都会の真ん中で流れるのどかな音楽がいずれ聞けなくなると思うと少し寂しい気分になるが、音響装置を必要とする人のことを最優先に考えるべきなのは言うまでもない。